秋田米を全国へ「一乃穂」は秋田米で作った秋田しとぎ菓子をお届けしています

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  No.115(2002年12月1日)

1.うさぎ追いし かの山 こぶな釣りし かの川
  夢は今も めぐりて 忘れがたき ふるさと
2.いかにいます 父母 つつがなしや 友がき
  雨に風に つけても 思いいずる ふるさと
3.こころざしを はたして いつの日にか 帰らん
  山は青き ふるさと 水は清き ふるさと

 この歌は、高野辰之作詞・岡野貞一作曲文部省唱歌『ふるさと(故郷)』です。懐かしい歌となったこの歌を先日2,500余名が合唱する会場にいて歌詞を見ながら歌っているうちになにかジーンと胸に来るものがありました。北朝鮮拉致被害者の方がよく口ずさんでいたという記事を読んだせいもあったのでしょうか。私たちには、何かの機会に歌に励まされたり、記憶を呼び戻されたりすることがあります。しかし、『仰げば尊し』などは最近でも歌われているらしいですが、昔の歌が歌われなくなってからモラルや倫理観の低下が叫ばれて久しくなっています。
 短期間のうちに、知人がおり第24回菓子大博覧会の開催地でもある熊本市、山梨県甲府市、長野県望月町、東京都、福島県郡山市に行ってきました。東京を除くどの街も高齢化や中心部の空洞化など抱えている問題は秋田と同じだと感じてきました。駅前の放置自転車まで同じなのには驚きました。交通事故の被害者・加害者も高齢化しています。今のうちに高齢者にとって住み良い街になるよう変えていかなくてはならないと痛感しました。
 今年は明るいニュースが少なかった年でしたが、どうぞ良いお年をお迎え下さいますよう祈念しております。2003年は創業10周年を迎え、地域一番店を目指し商品の適正化、さらなるお客様の満足度向上を図ってまいります。よろしくお引き立ての程お願い申し上げます。
  No.114(2002年11月1日)

 毎日予期しないことが起きます。急用が出来、日程が狂い1日が非常に短く、しかももう少し時間がほしいと焦る程、時が早く過ぎていきます。予期せぬ出来事の中には、勝つ喜びも負ける苦しみもありますが、良い方が悪い方よりも圧倒的に多くその面白さは何ものにもかえがたいと思っています。
 しかし、先般の拉致被害者の一時帰国ほど衝撃的な出来事はなかったと思います。そして、8人もの拉致被害者はすでに死亡されていたということに心を揺さぶられてしまったのは、もちろん私一人ではないと思います。何も運動しなかった組織や議員の謙虚な反省はありましたが、中でも皇后様のお言葉が特に印象に残っています。
「小泉総理の訪朝で一連の拉致事件に関し、初めて真相の一部が報道され、驚きと悲しみとともに、無念さを覚えます。なぜ私たち皆が、自分たち共同社会の出来事として、この人々の不在をもっと強く意識し続けることができなかったかとの思いを消すことが出来ません。」これは多くの国民の心情を代弁している素直な言葉だと思います。横田めぐみさんのご両親をはじめ、戻ってこられなかった拉致被害者の家族の氣持ち、淋しさは察するにあまりありました。
 曽我ひとみさんの挨拶にも感動しました。「私は今夢を見ているようです。人々の心、山、川、谷、みんな温かく見えます。空も土地も木も私にささやく『お帰りなさい。頑張ってきたね。』だから私もうれしそうに『帰って来ました。ありがとう。』と元氣に話します。」被害者の方々は心配かけてすみませんと言われますが、むしろ私たちが謝らなければならないと思います。バラエティ番組は、当分見る氣にはなれない思いです。

※12月20日まで送料サービス企画を本店と登町店で実施中です。ご贈答にご利用下さい。
  No.113(2002年10月1日)

 秋田市大森山動物園のオスのアミメキリン「たいよう」が、骨折した右前脚を切除、義足をつける大手術を受けたのは5月14日のことでした。生後7カ月の「たいよう」は3月2日運動場でシマウマと交錯して骨折してしまいました。
 キリンは、英名ジラフといい、標準でおよそ体長2.8m・体重200kg背丈は5.5mにもなる動物です。長い足と首を使って、他の草食動物が届かない高い木の葉を独り占めにできます。又、背が高いので遠くを見渡せ、猛獣からの危険をいち早く察知して長い足をフル回転させ逃げのびるのです。その反面、キリンがもっとも危険なのは水を飲む時です。動物園では、飲みやすくしているでしょうが、野性のキリンは、長い首を下げてもこれまた長い足が邪魔して水面に口が届きません。それで前脚を左右に大きく開くか、膝を前に曲げたりしてやっと水を飲むのです。
 たいようが「必死でがんばっているのだから助けよう」と園長を含む獣医師たちの意見は一致し手術にふみきりました。キリンに義足をつけた例は、上野動物園はじめどこでも聞いたことがないそうです。
 懸命に立ち上がろうと努力する姿は多くの人を感動させ、新聞などマスコミで報道されると全国の方々からも激励が届きました。一度は義足で立ちあがり元気に餌を食べていましたが、やはりキリンにとって足の骨折は致命傷になったのでしょう。6月19日短い一生を終えてしまいました。動物に対して子供たちは勿論のこと大人がこんなにもやさしくなれることに感動し、さらには動物園の使命というものを再認識させ
られた「たいよう」の事故でした。しかし、その一方で毎日のように起こる殺人事件などの犯罪やペットへの冷たい仕打ちなどには本当に胸が痛む思いです。
  No.112(2002年9月1日)

 例年以上に雨が多かった夏も全国的に有名な大曲の花火のようにあっという間でした。多くの施設が天氣に泣きましたが、実りの秋はもうすぐです。
 さて、県外より転勤等で秋田に住んでいる方々の楽しみのひとつに温泉めぐりがあるようです。なにせ秋田県には名だたる温泉が数多くあります。なかでも、天然ラジウム・北投石(ほくとうせき)で世界的に有名な玉川温泉や乳頭温泉郷の鶴の湯などが代表的でその他にも 69市町村には温泉施設がひしめき合っています。
 しかし、私の周囲には温泉を嫌いな人も結構多く見受けられるから不思議なものです。施設が古く鄙び過ぎていて汚いというのが一番の理由だそうで、足拭きマットにあがると水虫がうつりそうなどと言いたい放題です。温泉ファンが聞いたら聞き捨てならないと怒ってしまいそうですが、一理はあると思います。折角良い源泉を持っているのですから、もう少しスマートに清潔感あふれる温泉であれば良いと改善すべき点は多いのではないでしょうか。
 ところで、あまり他人に教えないでと言われている本物の温泉があります。古くは「後三年の役」からの帰途、源義家がこの湯に傷兵を休ませたとの伝承が残っています。江戸時代は、湯宿が営まれていましたが、鉄砲水で流出し、明治38年(1868年)再建され、日露戦争の勝利を記念し屋号を日勝館(にっしょうかん)としました。山と沢に囲まれた「湯ノ沢」の源泉100%とPH9.8のお湯は、その澄みきった透明度から
「針一本落としても見える」と評判になりました。39度のお湯は長湯したほうが温まるそうで「ストレス性アトピーなどの治癒にも効能がある」と口コミで広まっています。教えないでと言う話しは案外広まるものでとうとう私も行ってしまいました。
「湯ノ沢温泉・日勝館」
〒019-0112 雄勝町下院内湯の沢国有林 TEL0183‐52‐4129
冬期間は休業(12月から4月まで)しています。
  No.111(2002年8月1日)

 残暑お見舞い申し上げます。
 8月の秋田は帰省の人たちで賑わいます。減少続きの人口もちょっぴり増え、いつもは閑散としている施設も多くの人を楽しませてくれるでしょう。
 先般、同じ月に宝塚の月組公演と以前に紹介した田沢湖町にあるわらび座のミュージカルを鑑賞しました。舞台装置や衣装など比較すべきではありませんが、どちらも内容は大変素晴しいものでした。当店のお客様でもある「紫吹淳」率いる月組の華麗な踊りと歌は多くのファンを魅了しました。また、わらび座の「アテルイ」というミュージカルは、岩手県在住の作家・高橋克彦の「火怨」という作品の舞台化です。大和朝廷が当時の蝦夷(えみし)を平定しようとした時、もっとも勇敢に戦ったのがアテルイです。
 アテルイの強さと情熱を取り戻すことが東北の復権に繋がると高橋克彦氏は書いています。しかし、彼がどんな人間でどういう戦いを繰り広げたかは知られてはいません。反対にアテルイと対立した坂上田麻呂(さかのうえのたむらまろ)が東北でも英雄と奉られています。只、奇妙なことに朝廷にとって誇るべき正義の戦いの大勝利の記述だけが「続日本紀」から、なぜか抜け落ちているそうです。アテルイは精神的に
勝利したのではないかというのが高橋氏の推論です。
 東北人は、粘り強くて働き者とよく言われてきましたが、これは東北人を軽蔑した言い方が起源だということを今回初めて知りました。
貧しかったからその時代、時代で必死に働かざるを得なかった過去があるからと言うのです。その昔、白河以北一山百文という軽視された表現がありましたが高校野球の優勝旗も、一度は白河の関を越えてもらいたいものだと思っています。
  No.110(2002年7月1日)

 皆さんも何回か集合写真を撮られた経験があることと思います。その中に必ず目をつぶってしまう人がいます。シャッターチャンスはほんの一瞬ですから、それと同時に目をつぶるのは本当は難しい事なのにと思ってしまいます。
 その一方で、目をつぶらないようにと緊張して顔がこわばってしまうのも事実です。スターと違ってこの世の中、カメラ馴れしている人はあまりいないと思います。
 先日も記念写真を撮る時にカメラマンが「さぁ〜撮りますよ〜!いち、にい、さん、笑って!」と何回も言ったのですが誰も笑いません。しびれを切らした主催者の方が、「じゃあ、全員笑った顔と笑わない顔と2枚撮りましょう」と声を挙げました。後日、2枚の写真が届きましたが、やはり笑っている顔の写真の方が素敵で、笑っていない写真は仏頂面が多く魅力に欠けていました。
 この出来事の後、私は今年の1月にお会いした女流写真家・織作峰子さんとの話を思い出しました。席が隣り同士だったので、つまらない質問かなと思いつつも「写真を撮る時、目を閉じてしまうのを防止するのはどうしたら良いのでしょうか?」と聞いてみました。彼女は、単純明快に『「ハイ撮りますよ」と言うまで目を閉じていて、撮る瞬間に開けたらいいですよ』と言う答えでした。以来、私は集合写真で目を閉じた状態で写ったことはありません。
織作さんは、ミスユニバース日本代表から写真家に転身し、大竹省二氏のもとで5年間の厳しい修行を経て、現在フリーで活躍されています。普通、ミスに選ばれた後はモデルや女優の道に進む人が多い中、自らものを作り出す創造的な仕事がしたいと何も知らない写真の世界に飛び込んだそうです。写される側から写す側になったわけです。「赤道真下の南太平洋」、「キリバス共和国」の風景など感性豊かな作品が多くあります。
 当店の良いお客様でもあります。
  No.109(2002年6月1日)

 暑中お見舞い申し上げます。
 本年は全国的に暑い夏になりそうです。くれぐれもご自愛下さいませ。
 さて、先般6月9日秋田市の千秋公園(せんしゅうこうえん)で6流派合同茶会が催されました。晴天に恵まれ、お花見以来の多くの人出となり、色々と趣向をこらしたお茶会で好評でした。お茶は、元々好きずきもあるかと思いますが、もっとも広範囲な日本文化の集大成かと思います。
 茶の湯というと「自分には縁がない」と言う方やお金がかかるということで一抹のうさんくささを感じている方も事実多いと思います。しかし、それは千利休の完成させた「茶の湯」とは程遠いものがあります。
 「朝顔の茶会」という有名なお話があります。ある日、秀吉は茶室の露路(内から茶室まで演出的に作った細い通り道)にたくさんの朝顔が咲き乱れている美しさに喜び、利休に「朝顔の茶会」を開くよう命じます。
 ところが翌日、秀吉が部下を引き連れて茶室を訪れると露路の朝顔の花が、一本残らず刈られているではありませんか。このことに激怒した秀吉は足音も荒々しく利休の待つ茶室に行くと、床の間にただ一輪の朝顔が活けられていました。秀吉はこの利休の演出に感服したといいます。増やすということは、理屈上いくらでも出来てきりがありません。しかし、一輪しかなければそれが朝顔の全てになるのです。利休の目指すものは秀吉と正反対の美意識だったのです。秀吉は感服したものの、多分傷つけられたのではないでしょうか。そこに人間関係の難しさがひそんでいると思います。
 人間は、人間でしか救えないのに知らずに相手を傷つける場合もあるのです。
  No.108(2002年5月1日)

 当店は、この1日で創業9年を迎えることが出来ました。ご愛顧いただいているお客様には、心より御礼申し上げます。
 これまでのお取引先のご協力、ご支援もさることながら、当店では厳しい商品管理を徹底してまいりました。しかしながら、今般の狂牛病関連や一連の食品会社の不祥事案は、他山の石と受けとめる必要があると思います。そしてその対策としては、お客様に知られることが、お客様にとって不利益になる情報、つまり会社としての秘密を持たないことだと思います。色々な組織の崩壊は内部の情報が外部に漏れていくことで始まります。情報はなぜ漏れるのでしょうか。以前、講演を頼まれた時、「ガスと秘密はよく漏れる!。」と話したら、これを聞いていたガス会社の支店長から「現在はそんなことありませんよ!。」と叱られたことがあります。しかし、往々にして秘密は漏れるものです。「あなたは口が固いか?」と尋ねたら、10人中8、9人は「私は固いです。」と言いますが、それでも「黙っていてね」と言うことは全ていつか外に出ると言っても過言ではありません。もちろん、内部告発をする良識ある人もいると思います。
 秘密を最初から持たず、何よりも社員一人ひとりと経営者が誠実でなくてはならないと思います。数十年もかかって築きあげてきた信用あるブランドも、わずか数日間で失ってしまうということを認識する必要があります。永続性をお客様より絶たれるということはいとも簡単に実現してしまうのです。ですから、当店では商品に秋田県産米使用と記載している以上、お米を納品していただいているお取引先に改めて保証書を提出していただこうと思っています。さて、お客様の中には、お米づくりは田植えからと思っている方もいらっしゃるかと思います。実は、今頃からゴールデンウィークまでが一番忙しいのです。暖冬の本年は雪解け水の少なさが氣がかりですが、育苗箱に種をまき、ビニールハウスの中で1ヵ月程苗を15cm位に育てるのです。お米づくりの本番はすでに始まっています。
  No.107(2002年4月1日)

 本年の春は、地球温暖化現象のせいか、桜前線が例年以上に早く、本来ならGW期間が見頃の秋田、角館、大潟村等の桜は早々に散ってしまいました。
 大潟村の桜は、まだあまり知られていませんが、県外の方には八郎潟干拓で出来た村と言った方が判りやすいのではないでしょうか。日本の米どころと言っても過言でないくらい民家やビルのない広大な土地に真っすぐ伸びる道路の両側11kmにわたり、桜と菜の花が続いています。植えてからまだ20年という若い木だけに勢いを感じます。そして何よりも、ピンクと黄色のコントラストが見事です。
 東北の名園といわれる千秋(せんしゅう)公園や全国的に有名な角館(かくのだて)の桜も素晴しいのですが、年々風格が増す大潟村の桜は今後人氣のスポットになること間違いなしです。7月下旬からは「ひまわり」も見られ、その延々と続く風景は感動を呼ぶこととなるでしょう。
 良い風景や良い言葉は、正にその地域の住民にとって生活に溶け込んで、いつまでも生き続けるのだと思います。そこでお米に因んだ言葉の由来をひとつご紹介します。
 「しゃり」という言葉をご存知と思います。お寿司屋さんで耳にするのですが、私自身、何も考えずに使っていました。「しゃり」は「舎利」と言い、つまりお釈迦さまの骨のことです。仏舎利は巡り巡って、稲、麦、粟(あわ)・黍(きび)などになって、人間を助けてくれるものと仏教では説いています。お米は、仏様の化身で粗末にすると罰が当たると子供を戒めてきた時代は遠い昔のような氣がしますが、現代でも忘れてもらいたくないことのひとつです。
  No.106(2002年3月1日)

 105号に続き本の話しで恐縮ですが、秋田市立中央図書館「明徳館」のボランティアグループ「明徳館こんわ会」は、今年も子供たちに贈る童話集を刊行致しました。いろいろな方々が創作された童話が楽しめます。
 当店では、この童話集を10冊購入致しました。抽選でご希望の方に差し上げますので、今月20日までに添付のアンケート葉書か官製葉書に『童話集希望』とお書きの上、ご応募ください。発表は次号に掲載させていただきます。
 童話集は3回目ですが、それに何回かご応募された能代市のお客様より感動的な童話の本をいただきました。能代市は、バスケット日本一の能代工業高校で有名なところで秋田市より北に車で90分くらいのところにあります。
 以下その童話「お兄ちゃんが病気になったその日から」(佐川奈津子著・小学館・2001年8月発行)の抜粋をご紹介致します。経験したことのある方は大いに共感できると思います。
 「僕は、お兄ちゃんの病気が長くなるにつれて、“わがままな自分”と闘わなくてはいけなくなっていった。“わがままな自分”というのは(僕だっていつもお母さんと一緒にいたい!)という思いだった。この思いだけは、消そうとしてもどうしても消すことは出来なかった。僕は(お母さんをひとりじめにしたい)と思う自分が大嫌いだった。おにいちゃんは、あんなに病気と闘っているのに僕はどうしてわがままを言うのだろうか?僕は……悩んだ。苦しかった。そして、僕はさびしかった。もう、僕の心の中は、おにいちゃんがどうでもよくなっていた。そのことに、気がつくたびに、僕は自分をしかった。」
 この本を読んだある読者は、『闘病1年5カ月で長女が亡くなったとき、「うれしいな。これでお母さんが帰ってくる。」と手をたたきスキップした次女の顔は忘れられない』と話しています。この童話をくださった桑村様も同じ経験をされています。病気の兄弟や姉妹を持つ子供たちを支える機関や仲間が必要だと思います。
  No.105(2002年2月1日)

 よく本屋さんに行くのですが、衝動買いをし、数ヵ月後に読むことも多い私ですが、昨秋、新潮社より発行された「水曜の朝、午前三時」という本をご存じでしょうか。
 現在第4刷目が決まりベストセラーに迫る勢いだそうです。著者は、蓮見圭一氏で略歴等は一切なく、ナゾの作家として注目されています。無名の新人が、初版から1万部ですから話題にならないはずがありません。地元紙・秋田魁新報の1月18日夕刊に紹介され初めて知りました。翌日、購入した私は珍しくその日の内に読んでしまいました。
 それは蓮見圭一氏は秋田市出身の大門宏樹さん(42歳)のペンネームだったからです。秋田出身の作家は、金子洋文氏から西木正明、塩野米松、内館牧子氏まで数多くおりますが、最近のベストセラー作家になりうるのは蓮見氏に違いないと思っています。デビュー作品としても、また意図的な販売戦略としても内容的には良い作品だと思います。出版関係にお勤めとの情報もありますが、いずれマスコミに取り上げられ明らかになることでしょう。
 さて物語は1970年、大阪万博の夏を中心に始まります。特に団塊の世代にとって、大変懐かしい情景が浮かんでくる物語です。45歳の若さで逝った女性翻訳家が娘のため遺した4巻のテープ。そこに語られる情愛、許されぬ過去。誰もが何かを探していたあの時代が鮮やかに甦ります。目の前にあるものすら見えないふりをしている今、誰もが見えないものまで見ようとしていた時代であの頃はあったような氣がします。
秋田をイメージした部分もあり、停滞感のある当地にとって明るい話題になるよう、そして出来れば映画化も決まるよう願っています。
  No.104(2002年1月1日)

 新年明けましておめでとうございます。いよいよ、創業10年を迎える重要な区切りの年を迎えました。
 本年も宜しくご愛顧の程お願い申し上げます。
 さて、私共が見本ではなく手本と思っている同業の会社が全国に多数ありますが、その一つに、郡山市の柏屋さんがあります。「薄皮まんじゅう」のブランドはあまりにも有名ですが、その柏屋さんが昨年創業150周年を迎えました。昭和33年から40余年も月刊児童詩誌「青い窓」を発刊し続けておられます。正に「継続は力なり」です。先般、本名幹司社長より詩集や記念誌、CD等をいただきましたのでその中から、二編紹介したいと思います。
 児童詩は、生活のなかから生まれたものですから、とてもわかりやすく、それでいて素直な感動が伝わってきます。「青い窓」の会主宰の佐藤浩先生は、昭和23年に光りを失ってから、新しい道として児童詩に出会い、それは、いい言葉の出会いでもあったと語っておられます。
 私達大人は、子供時代の純粋性やあたり前の生活の大切さを忘れかけています。人間は人間によってしか救われないと感じるのは大袈裟でしょうか。


 ハンカチ
                小学5年 折笠光子
新しいハンカチって すまし顔の女の人みたい
でも そのハンカチも
洗えば すまし顔が ふっとんじゃう
新しいハンカチは 本当のハンカチじゃないよ
洗ったハンカチが 本当のハンカチだよ

 年に一度
               小学6年 佐藤まゆみ
「今日は年に一度のクリスマスだ」
本当に年に一度
でも2月25日だって 4月25日だって
年に一度しかない
毎日が
年に一度ということに
気がつかなかった





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