秋田米を全国へ「一乃穂」は秋田米で作った秋田しとぎ菓子をお届けしています

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  No.175(2007年12月1日)

 本年も結びの月となりました。去り行く月日は、早く感じられるものですが、当地では先月、思いがけず大雪に見舞われました。
 「かまくら」で有名な横手市では、収穫間近なりんごの木々の枝が折れる被害となり、来年の収穫も心配される状態です。外は凩(こがらし)や空風(からっかぜ)が吹き、風邪も流行っています。天候も世の中も今年ほどいろいろな風が吹いた年は、なかったように思います。
 日本人の風流からか、「風」という文字から拾える言葉や現象が数々あります。ヒット曲「千の風になって」は、人間の死という誰にでも平等に訪れることが、恐れや怖さのイメージよりも、死んで終わりではなく「風に生まれ変わる」と考えられ、少し氣が軽くなるように思います。「父が死にました」というより「父が千の風になりました」という表現が今後多く聴かれるかも知れません。
 さらに、風格、風貌、風采、社風などは人や組織を表わし、風光、風物、風雅、風流といった風は、雅な美しさやすがすがしさを表現し、また風習、風俗は生活そのものです。自然を表わす言葉では、東風(こち)、風花、青嵐、朝凪(あさなぎ)、夕凪(ゆうなぎ)など四季そのものを二文字で教えてくれます。千里同風(せんりどうふう)は「離れていても同じ風が私たちの上には吹いているよ!」という意味の素敵な言葉です。どうぞ新しい年は、皆様に良い風が吹くよう祈念致しております。
 春風や東風を心待ちにするかのように年明け早々に県内では秋田市のぼんでん祭り、男鹿のなまはげ、横手のかまくら等など冬の行事が目白押しです。
 どうぞ良いお年をお迎え下さい。本年のご愛顧誠にありがとうございました。
 尚、初売りは本店が2日、登町店は3日、SC店は1日となっております。来年もこころよりご来店お待ち致しております。
  No.174(2007年11月1日)

 前号でお知らせしましたが、秋田わか杉国体、全国障がい者スポーツ大会わか杉大会は晴天に恵まれ、先月無事終了しました。全国から多くの選手・役員・応援団の方々にお越しいただき、すばらしい感動を与えてくれました。
 しかし、国体は開催県のマスコミを賑わせますが、全国ニュースにあまりならないのが何となく物足りなさを感じました。ところが、現在はどうでしょう、比内地鶏の偽装問題が連日報道され、郷土料理「きりたんぽ」の最盛期を迎えるというのに風評によるイメージダウンが懸念されています。
 信頼を損なうということの恐ろしさを今更ながら痛感していますが、真面目にコツコツ努力している農家やJA、比内地鶏生産関係者の方々の今日までの努力に水をさし、しかも水害からやっと立ち直りの目処がつきつつある時に、この事件ですから。私たちの業界でも、「白い恋人」や「赤福」など手本とされていた素晴しい企業が、ただの見本でしかなかったことになりました。お客様の中には「再起してほしい」と願うかたもおり、一筋の光明だと思います。
 当店では数年前、秋田県産もち米が不足し高騰した折、秋田米100%の看板や表示を改めたことがあります。売り上げは減少したものの、倫理感ある行動をとって良かったと思っています。組織にはばれて都合が悪い秘密が無いということがどんなに大切な事か実感しています。「信じる人を裏切ることは出来ない」といわれますが、地元で関心を持つ人が少ないにもかかわらず、世界中のクリスチャンが押し寄せる観光スポットが秋田市にあります。
 信仰心厚いシスターたちが熱心に拝み続けたところ、人の涙と同じ成分が流れるという「涙を流すマリア像」です。作家の遠藤周作氏も何度も訪れたそうです。信じるということは奇跡を生むことがあるのでしょうか。
  No.173(2007年10月1日)

 九月に入ってからも全国的に残暑が続きましたが、これも地球温暖化のせいでしょうか。比較的水害が少ない秋田県でも大雨による多大な被害があり、被害額は40億円以上と予想されています。特に北秋田市の阿仁前田駅周辺では近くの堤防が決壊したために、水かさが2mにも達し、商店街が土砂で埋まりました。また、郷土料理の代表「きりたんぽ」に不可欠な比内地鶏19,000羽が出荷直前に水死したり、さらには3日後に刈り取りを予定していた水田も被害に遭いました。苦労して育てた農作物が収穫寸前で水泡に帰したことを考えると胸が痛みます。
 しかし、全国から集まったボランティアの人たちが、被災した人と一緒に土砂を片付けているのを見て、やはり人間を助けるのは人間しかいないと痛感しました。一日も早く復興されることを祈っております。
 ところで、災害の際、多くの場合は学校の体育館や公民館が避難先となります。ですから、そうした施設は安全な場所に建てられ、耐震設計や風水害に強くなければなりません。冷暖房を完備しすぐに使用できるようにし、ガラスは割れないように工夫しておかなければなりません。
 しかし、現実は、強い地震が起きるとガラスが割れ、設備品が倒れ、それを片付けるのに時間がかかり、すぐには使用出来ないことが多いそうです。こうした被災地の経験は他の地域に生かしていくべきです。全国の学校の体育館のガラスを割れないように加工する募金活動が、ロータリークラブから始まりました。この活動の広がりに期待しています。
 さて、当地では今月9日まで第62回国民体育大会・秋田わか杉国体が、さらに13日〜15日までは第7回全国障害者スポーツ大会・秋田わか杉大会が開催されます。来県される多くの方たちが、好印象を持って充実した経験や思い出を胸に帰られる事を願っております。
 深まり行く出来秋、北秋田で被害があったものの県内は秋色に染まっています。
  No.172(2007年9月1日)

 先般の発表では、日本はまたしても平均寿命が伸び、連続世界一の長寿国となりました。WHO世界保健報告によると男性79歳、女性86歳、男女合計82.5歳です。
 平均寿命の伸びは、一国の経済力、衛生力、文化度など国力の総合指標だといわれています。織田信長が、「人間50年、下天の内をくらぶれば、夢幻のごとくなり」と謡曲『敦盛』を謡い本能寺で48歳の人生に幕を閉じてから、450年が経ちました。以来、何の健康法もしなくても80歳、90歳と元氣な人が多くなりました。あの「きんさん、ぎんさん」の百歳も今では珍しくありません。人類史上にこんな長寿国があったでしょうか?
 今まで、日本民族は世界史上に数々の奇跡を残してきました。江戸時代は300年間も国内に戦争は無く平和でした。
 また、世界で最初に原爆被害を受け、113もの地域が焼け野原となり、今後200年は再起不可能と言われながらも、40年足らずで不死鳥のようによみがえり、世界第二位の経済大国に成長しました。
 これからは、医学の発達、衛生思想の普及や所得の向上だけでなく食文化や家族制度にいたるまで、先祖代々伝えられてきた衣食住の伝統的生活スタイルを再度考え、家族関係が薄くなりつつある現代、日本の温故知新を考えてみることが大切です。9月17日は敬老の日です。ご高齢者が安全安心で暮らせる社会にするため、どんなことを不安に思っているかをしっかり知り、誰でも皆歳をとるのですから、身の回りや地域のバリアフリーには早くから取り組む必要があると思います。お互いに身近なご高齢者を氣遣いましょう。
  No.171(2007年8月1日)

 先日、秋田市の大森山動物園の遊園地の閉鎖を残念がるニュースが報道されていました。遊園地を経営する浜田観光の長年にわたる努力もむなしかったことになります。それによって中高年の新たな失業者も生まれることでしょう。さらに、子どもに夢と感動を与える地域の魅力が薄れていくことを危惧(きぐ)する一人として意見を述べたいと思います。
 大森山動物園は最近、月刊誌「日経トレンディ8月号」の『全国動物園ビックリ度格付け』で4位にランクされました。これは、1位の旭山動物園とも交流がある園長さんをはじめ、職員のみなさんの努力の賜物と思います。
 現在、県や市では若者の定着を図ることを目的に諸施策を推進していますが、その一方で多少の予算でなんとかなることを冷たく無視するような事例もあるように思われてなりません。地域の魅力や子供たちの希望を損なう行為を大人はすべきでは無いと思います。自殺の問題も含めて身近な問題に対して、もう少し努力していただけないでしょうか。地方都市は少子化をはじめ問題山積ですが、子供たちの心の明るさだけは、なんとか守り、育てていきたいものです。
  男鹿半島の水族館の一頭で寂しそうな白熊「豪太」にくらべれば、大森山の動物たちはいきいきしています。大人フリーパス券(1,200円)を購入すれば1年間は何回でも入場できます。お孫さんと一緒のシルバーの笑顔は見ていてうれしくなります。全国的に見てもこれからは、動物園の新設はないといわれる現状を考え、大森山動物園の充実と遊園地の存続を望みたいと思います。市議会でも、是非取り上げていただきたいと思います。全国のみなさんはどう思われるのでしょうか?
  No.170(2007年7月1日)

負けないで もう少し
最後まで 走り抜けて どんなに 離れてても
心は そばにいるわ 追いかけて 遥かな夢を
何が起きたって ヘッチャラな顔をして
どうにかなるサと おどけてみせるの
今宵は わたくしと一緒に踊りましょ
今も そんなあなたが好きよ 忘れないで
負けないで ほらそこに
ゴールは近づいてる どんなに離れてても
心は そばにいるわ 感じてね 見つめる瞳

 これは、1993年(平成5年)1月、ZARD(ザード)というユニットが初めて出したシングルで、テレビドラマのエンディングテーマで使われた「負けないで」の一部です。歌手は知らなくても多くの人になじみのある曲だと思います。185万5,000枚を売り上げたヒット曲です。
 5月27日15時10分、ZARDのボーカルである坂井泉水(いずみ)さんは40歳の若さで急逝しました。コンサートやCDでは圧倒的な人氣がありながら、メディアにはほとんど出ず、坂井さんの人物像は常にベールに包まれていました。しかし、自分を安売りせず、謎めくイメージはファンにとって新鮮で、焦点をはずした写真の表情には強烈なインパクトがありました。親しみやすく、Tシャツにジーンズ感覚で書かれたカジュアル性のある作詞力は歌詞を提供した他の歌手にも高く評価されています。当店が開店した頃に「負けないで」がヒットしていましたので、特に印象深い曲です。彼女の死は事故か自殺か不明な点もあるという事ですが、代表曲の「負けないで」や「揺れる想い」は確実に後世に歌い継がれることでしょう。こころよりご冥福をお祈り致します。
 八月はいよいよ竿燈まつりなど夏まつりがはじまり、旧盆も目前になりました。
  No.169(2007年6月1日)

 「刑事」と書いて「デカ」と呼ぶことがあります。主に犯罪者を捕まえる警察官についた呼称ですが、一般的にはなぜ「デカ」と呼ぶのかはあまり知られていないようです。「デカ」は明治時代に生まれた言葉で、もとは犯罪者仲間の隠語だったそうです。当時、制服を着ていた刑事巡査のことを「角袖巡査(かくそでじゅんさ)」や「角袖」と呼び、「角袖」を逆さまにし、初めと終わりだけ取ったのが「デカ」です。別の理由もあるらしいのですが、この説明が一般的なようです。
 どうして今回「刑事」を話題にしたかというと、ある刑事さんから以下のような話しを聴いたからです。昨年、秋田県能代署管内で起きた藤里事件は全国に大きな衝撃を与えましたが、その捜査のさなか能代署に「刑事(デカ)」とシールが貼られた清酒10本が差し入れられました。刑事さん達への激励です。なぜこのシールが貼られていたのかにはひとつのストーリーがありました。
 それは2001年5月8日弘前市で9人が死傷した消費者金融支店強盗放火事件がもとにあります。この現場近くにある蔵元には、犯人逮捕のため「どんな情報でもいいから」と真冬の厳しい寒さの中、連日多くの刑事さんが来店したそうです。しかし、なにも答えることはなく、店主は冷え切った指先を温めてもらおうと一服の熱いお茶でもてなしました。やがて事件は解決し平和を取り戻した時、店主は感謝の気持ちを込めた栞と共に「刑事・デカ」のシールが貼られた清酒を造ったのでした。
 その後、能代署管内でひき逃げ事件が発生しました。本部からも応援に駆けつけ、約3,500台の対象車輛から1台の容疑車輛を見つけ出し無事解決しました。その時、署長から本部応援者に御礼としてこの清酒が贈られました。瓶には、「魂の酒・被害者の悲しみに接し、共に涙を流し被害者を励まし慰め、事件解決のためもくもくと働く男達「刑事」、そんな寡黙で勇氣ある男達のために精魂こめて造らせていただきました。」とありました。商魂たくましいという見方もあると思いますが、人の思いを純粋に考えたいと思います。おいしいお酒でした。
  No.168(2007年5月1日)

 五月晴れという言葉があるように過ごしやすい季節の到来ですが、五月病が起きる時期でもあります。新しい環境についていけず、知らず知らずのうちに自分の殻に閉じこもり、「こころのスランプ」に陥るのです。しかしながら自分を見つめ直す良い機会でもあり、こころの成長に大切な時期です。過去と他人は変えられませんが、自分と未来は変えられます。
 さて、スポーツの世界でもメンタルな部分のサポートが求められています。北京オリンピックも近づき、周囲の期待に応えようと頑張っている選手も数多くいることでしょう。その反面、精神面でのプレッシャーもあることと思います。
 日本中が東京オリンピックに熱狂していた頃、福島県須賀川出身の円谷幸吉(つぶらやこうきち)選手を忘れることができません。高校時代の円谷選手は、平凡なランナーでした。ただ「あれだけ走っても汗ひとつもかかない。不思議な奴だ!」と県陸連委員から言われていました。高校卒業後は、自衛隊に入隊し、1日20キロ以上を走り込むトレーニングを重ねていました。
 その後、東京オリンピックの為に自衛隊体育学校が設立され、入校した円谷選手は1964年東京オリンピックに出場します。父から「男なら絶対後ろを振り返るな!」と言われ、ゴールを前にイギリスのヒートリー選手に抜かれはしたものの、3位銅メダルでした。ちなみにそのときの1位はエチオピアのアベベ選手です。日本唯一の陸上競技のメダルに日本中が沸き、次のメキシコ五輪に周囲の期待は高まるばかりでした。そんな中、競技生活に支障が出ると上官に反対され、円谷選手は長年付き合っていた女性との結婚を延期せざるを得ませんでした。
 その後、彼女は彼の家の玄関先に1箱の段ボールを置いて去って行きました。その中には、円谷選手が送ったプレゼントが全て詰まっていたそうです。そんな中、円谷選手は「父上様、母上様。幸吉はもうすっかり疲れきって走れません。何卒お許し下さい。」という、川端康成や三島由紀夫が絶賛した遺書を残し、1968年1月9日28歳の若さで逝ってしまったのでした。
  No.167(2007年4月1日)

 皆さんは、『世界で一番売れている薬』をご存知ですか?山内喜美子著(小学館・1,680円)でこんな題名の本が発売されました。
 その薬は「スタチン」と総称される高脂血症薬です。世界で3兆円近い市場と言われ、日本でも少なくとも480万人が服用しているので、あなたの家族や知人も飲んでいるかもしれません。発見者は農学博士の遠藤章先生で、秋田県出身です。秋田の農家に生まれ、村人の軽い病氣や怪我の手当を得意とした祖父の「勉強して野口英世のような立派な人になれ」という言葉を聞きながら育ちました。定時制高校時代、ハエには有害でも人は食べられるハエトリシメジに興味を抱き、その成分を独りで研究したそうです。それを知った恩師の推薦で全日制高校に編入、その後東北大学農学部に進学しました。この間、本人の努力は勿論のこと、貧しい中で学べる環境を整えてくれた先生や親の応援に、教育とはこういうものだと昨年遠藤先生の講演を聴いて感動しました。
 副作用のない世界初のコレステロール合成阻害剤誕生は、'73年に青カビから発見されたコンパクチンで確実なものとなりました。
 これが基となって7種類のスタチンが市販されています。日本では、メバコール・リポバス・メバチロン・ローコール・リピトール・クレストール・リバロの6種類です。ロバスタチンは認められていません。こうして、今や世界で4,000万人以上が服用し、3兆円の売り上げ規模のスタチンは、世界1万種類以上の薬の中でトップになっているのです。
  No.166(2007年3月1日)

 2月は1年で一番寒いのに、今年は暖かく秋田市の積雪はゼロに近く、冬の生活にしては楽なものの何か不安な異常氣象です。
 ところで秋田県は、少子高齢化率が全国トップクラスで、そういう意味では先進県ともいえます。そこで今回は子供に関する話題です。現代社会には、大人の不正やウソ、誤った言葉使いが横行しています。子供はいったい何歳ぐらいからウソを覚えはじめるのでしょうか。幼児心理学の研究者たちによればそれは思いのほか早い時期からだそうです。
 たとえば、生後8ヵ月のある女の子は、洋服ダンスの洋服に興味を持ち、中身をあたり一面にぶちまけては上機嫌です。母親に叱られると、自分のオモチャをタンスの下に投げつけ、それを拾うふりをしてタンスに近づき、また洋服を散らかしはじめました。
 また、1歳11ヵ月の男の子は、気に入らない時は寝たふりをして呼びかけにはイビキで応じるという高度な技を使いました。(亀山佳明著「子供の嘘と秘密」より)
 ただ、これらはウソというより、順調に知恵がついてきた証拠とも言えます。子供がウソやごまかしを上手に身につけながら成長していくモデルになっているのは、なんといっても親です。
 子供とかわした約束を親が忘れると、子供は人にウソをついても良いということを学び、「お父さんには内緒にね」とか、電話がかかってきた時、「お母さんは、今いないと言いなさい」などといった日常会話を通して次第にウソを容認しごまかしを体得していくことになるのではないでしょうか。問題をかかえた家庭にはひょっとしてウソの匂いが立ち込めているかも知れません。
  No.165(2007年2月1日)

 今、話題になっている映画があります。周防正行監督の11年振りの映画『それでもボクはやっていない』です。原作は『お父さんはやっていない』(太田出版)で東京在住の矢田部孝司さんと妻あつ子さんの共著です。昨年12月、表紙にたどたどしく『こうぎ文〜9才』と書かれた本を偶然手に取りました。内容は、電車内で痴漢に間違われ、現行犯逮捕されたサラリーマンの実話です。3ヵ月間身柄を拘束された後に失業、一家心中未遂。そして2年の法廷闘争の末にやっと勝ち取った無罪判決。ごく普通の家族が冤罪事件に巻き込まれるという、「非日常」的な体験が本になったのです。周防監督が3年間も取材を続け、映画化を決定した事が、矢田部さんが本を出す動機になったそうです。冤罪を晴らすにはどのようにすべきかも参考になる内容です。
 日本の刑事事件は、起訴されると99.9%が有罪になります。いかに冤罪を晴らせるか、無実の人を処罰させないか、また、裁判官はだまされないという心理状態で、無罪を言い渡すことがいかに難しいかが、この本で良くわかります。裁判官は、検事や弁護士よりも被告にだけはだまされたくないと本当は思っているそうです。
 そして、被告が否認すると勾留期間は長引き、身柄を人質にした「人質司法」というシステムの中で家族をも巻き込み裁判闘争をしていかなければなりません。多額な保釈保証金もかかります。痴漢の罪を認めれば5万円の罰金で1〜3日で釈放というのも納得いかないところです。
 著書の矢田部さんは最後にこう記しています。「冤罪事件の恐ろしいところは、被害者ではなくて加害者にさせられてしまうことだ。性犯罪者という屈辱的なレッテルを貼られる怖さ。これは私に限ったことではなく男である限り誰でも加害者になる動機を持っているし、無実の証拠など簡単に見つからない。それでも否認して裁判をする勇氣を何人の人がもてるのでしょうか?」と。平成21年度より裁判員制度が始まります。国民が裁判に参加することになりますが、いかに冤罪を出さないかも改革してもらいたいものです。
  No.164(2007年1月1日)

 新年おめでとうございます。良いお年を迎えられ、お喜び申し上げます。本年もどうぞ宜しくお願い致します。
 当店は15年目の節を迎えることになります。「竹に節あり木に年輪あり」と申しますが、ひとつの節を加えることにより更にしなり強く、そして年輪を加えることにより更に太くなるよう努力を続けたいと思っています。
 同時に、人生には人それぞれに記念日が多くあります。その最も大切な記念日は、言うまでもなく「誕生日」です。父と母の生命が結合し、小さな命が誕生します。
 その命の源を遡っていくと、わが命に至るまで連綿と続く命の系譜ががわかります。10代遡ると2,046人、20代では208万数千人にもなります。(倫理法人会今週の倫理486号より)このことを知れば、現在の自分の命は、決して小さな命ではなく、尊いものと氣づくことでしょう。
 人は、子供の頃に親から教えられたことを心に留めて生きています。物心ついた時に命の大切さを教えられれば、人を愛し、国を愛する心を大切に生きていくのではないでしょうか。
 記念日には、誕生から入学、卒業、就職、結婚、子供の誕生、還暦、古希、喜寿、傘寿、米寿など様々ですが、さらに私には創業、独立、継承、周年があります。
 これらの記念日を忘れることなく、繋ぎ祝うことは、日々お世話になっているお客様に対する感謝につなが
っています。恩意識を持ち、人間性を高めることは、これからの人生を豊かにしてくれることでしょう。




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